酸膨潤(さんぼうじゅん)
毛髪が酸性の薬剤や環境に触れることで水分を吸収して膨張する現象を指す。アルカリ膨潤とは逆の現象であり、髪がpH4.5以下の酸性になるとプラスの電荷が多くなり、プラス同士が反発して髪が膨潤する。ただし、毛髪のpHによって膨潤の度合いや影響は異なる。
酸膨潤の特徴とヘアケア・美容との関連
- pHによる影響
毛髪の等電点(pHが約4.5〜5.5)よりも酸性の環境下では、毛髪のタンパク質(ケラチン)がプロトン化され、正の電荷を帯びやすくなる。これにより、静電気的な反発が生じ、わずかに膨潤することがある。
- キューティクルの収斂
一般的に、酸性の環境は毛髪のキューティクルを引き締める効果があると考えられている。そのため、酸膨潤はアルカリ膨潤ほど顕著ではなく、むしろキューティクルの収斂による引き締め効果の方が強調されることが多い。
施術への応用
- パーマ・カラーの後処理
アルカリ性に傾いた毛髪を弱酸性に戻し、キューティクルを閉じる目的で、酸性のリンスやトリートメントが用いられる。これにより、膨潤を抑え、薬剤の残留によるダメージを防ぎ、色持ちを良くする効果が期待される。
- 収斂効果
酸性の成分は、頭皮や肌の引き締め効果を期待して、スキンケアやスカルプケア製品に配合されることがある。
アルカリ膨潤との比較
アルカリ膨潤はキューティクルを開き、毛髪内部への薬剤浸透を促すのに対し、酸性環境はキューティクルを閉じ、収斂させる傾向がある。
アルカリ膨潤の方が、毛髪の膨潤の度合いは一般的に大きい。

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