膨潤軟化
主にパーマや縮毛矯正などの施術において、毛髪が薬剤の作用によって膨らみ、同時に柔らかくなる状態を指す。
膨潤軟化のメカニズム
毛髪の主成分であるケラチンタンパク質は、弱酸性の状態で安定している。パーマや縮毛矯正の1剤(還元剤)には、通常、アルカリ剤 が配合されている。このアルカリ剤が毛髪に作用すると、以下のような変化が起こる。
- 膨潤(ぼうじゅん)
アルカリ剤によって毛髪のpHがアルカリ性に傾くと、毛髪内部のタンパク質繊維間に水分が浸透しやすくなり、髪全体が膨らむ。キューティクルも開く。
- 軟化(なんか)
同時に、還元剤が毛髪内部のシスチン結合(S-S結合)を切断し、毛髪の構造が緩み、柔らかくなる。
この「膨潤」と「軟化」が同時に進行することで、毛髪は自由な形に変化しやすい状態になる。
ヘアケア・美容との関連
- 薬剤の浸透促進
膨潤によってキューティクルが開き、毛髪内部が緩むことで、還元剤が効率よく浸透し、シスチン結合の切断が進む。
- 形状変化の準備
軟化することで、ロッドに巻いたり、アイロンで伸ばしたりする際に、毛髪が新しい形状を記憶しやすくなる。
- ダメージとの関連
適切な膨潤軟化は施術に不可欠だが、過度な膨潤軟化(軟化過剰)は毛髪に大きなダメージを与え、最悪の場合、断毛につながることもある。美容師は、髪質やダメージレベルを見極めながら、薬剤の種類や放置時間を慎重にコントロールし、適切な膨潤軟化状態を見極める必要がある。
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