髪の内部のCMCを守るために
リトルサイエンティストのアジアンムーンも同じですが、容器に入った透明なヘアオイルはアウトバスに良く利用されていますが、効果のあるお薬は使い方を間違えると逆に副作用で髪にダメージを与えますから、注意が必要です。
昔から椿油のように皮脂に近いオイルは髪のケアに重宝されてきました。
昔と違い今は、アイロンやコテやドライヤーなど、高温で使用する道具が家庭でも気軽に使用することが多くなりました。
髪には2種類のオイルがある
リトルサイエンティストのセミナーでもよく話しますが、髪には皮脂とCMCという2種類のオイルがあります。
皮脂は体温で溶けていて透明なオイルで、皮脂腺から分泌されて、キューティクルの表面にある18MEAを使い、髪の先端まで届けられます。
例えるなら、サラダ油のようなものです。
このタイプの油は界面活性剤に弱く、シャンプー剤で洗い流すことができます。
一方、CMCは髪を構成するキューティクルやコルテックスを繫ぎ止める接着剤の働きをするために、溶けている油ではなく、体温では溶けない脂を使っています。
例えるなら温めたら溶けて冷やしたら固まるバターのようなものです。
このタイプの脂は界面活性剤に強く、シャンプーぐらいでは洗い流されにくいです。
オイルの性質が違うこと
説明が長くなりましたが、大事なのは、この2種類の髪の油は、普通混ぜても体温では混ざることはありませんね。
だから、椿油を髪に付けても、CMCは壊れることはないのです。
しかし、例えばバターとサラダ油を容器に入れて、電子レンジで加温したらどうなりますか?
バターは溶けて、サラダ油と混じり合ってしまいますね。その混じり合った2種類の油は室温に戻しても固まらなくなります。
同様に、乾燥した髪に透明なヘアオイルを染み込ませて、アイロンで100度近く加熱したら、髪に染み込ませた透明なヘアオイルが髪内部のCMCを溶かし込み、変性したCMC自体も接着剤の機能を失なってしまうということになります。
こうなると、シャンプー剤にも弱くなり、洗い流されてしまいます。
正しい使い方をしましょう
良くストレートパーマの女性が前髪が気になるので、朝にヘアオイルを付けてアイロンで整えているを聞きますが、それはダメ。
その時は綺麗に見えても、髪内部のCMCがアイロンの熱でヘアオイルと混じり合って弱くなり、シャンプーで流れ落ちやすくなるので、シャンプーする度に化粧落としのようにバサバサになっていきます。
最近でも、このように毛髪科学を知らないメーカーさんがヘアオイルを付けて加熱してダメージケアをうたう商品をだしていますが、その施術時には髪が残った油で綺麗に見えますが、髪のCMCを変性させて接着剤としての機能を低下させてしまっているので、ダメージは加速されます。
ヘアオイルを効果的に使う
髪にヘアオイルをつけるときには、髪の内部まで透明なオイルは染み込ませないこと。
染み込ませるならアイロンなどの加熱はしないこと。
CMCは85度では溶け出すので、ドライヤーも気をつけてください。
では、ヘアオイルを付けてアイロンをしたい場合はどうしたらいいか?ですよね。
水は油をはじきます。
したがって、髪が濡れていて髪内部が水で満たされているときは、ヘアオイルを髪に付けても髪表面に広がるだけです。
つまり、よくタオルドライした髪に薄くヘアオイルを塗ると髪全体の表面だけにつきます。
そこでドライヤーで乾かし、それからアイロンをしてください。これなら、CMCを変性させにくいですね。
あるいは、ヘアオイルの代わりに、ベータレイヤーミストやエマルジョンのように、白く透明でない溶けていないオイルが分散されたタイプの化粧品をアイロン前の乾いた髪に付けてください。
溶けていない脂はアイロン熱で溶けてCMCと混ざっても、接着剤としての機能は低下しにくく、特にナノ化CMCは接着剤としての機能を戻すので安心ですね。
熱を加えない場合でも、ヘアオイルは表面だけに軽く付けるようにしましょう。
ダメージしているからと髪にいっぱい染み込ませている方もいますが、多量の透明な油はCMCを徐々に溶かし込んでしまいます。
これも化粧落としのようにCMCを傷めます。
効果のある薬は副作用も高い。
髪のお薬を扱う人は、髪がどのように髪を守っているのかを知っていなければいけないのです。