目的

ダメージやエイジングが原因で髪のケラチン骨格が過疎化して、薬剤に対する耐久力が低下している髪は、ストレートパーマの施術に耐えられない場合がある。
そこで、チオグリコール酸、アルカリシステアミン、GMTを併用してS1とS2を均一に軟化してしっかりクセを伸ばしながら、活性化ケラチンを使って髪のケラチン骨格を補強して髪質を改善する方法を検討する。

実験方法

モデル

毎月の白髪染めと年に数回行ったストレートパーマの施術によりダメージしている髪(ダメージLV3.5毛先4以上)の硬毛で、うねりに悩む30代女性に施術を行った。

工程

STEP
シャンプー

トイトイトーイシャンプーで疎水シャンプーを行った。その後、しっかりタオルドライした。

POINT

髪の汚れを落としながら、髪を疎水に近づけた。

STEP
3種ミスト5倍塗布

ワクワクneo 3種混合原液:ワクワクneoミスト(1:4)を髪全体に塗布した。

POINT

疎水グラフトPPTによるダメージ予防、PPTの補給、薬剤の路づくりを行った。

STEP
BYAC:特トリ=1:1塗布

ダメージ部の強化とCMCの補給を目的として、ワクワクの種 BYAC:ワクワクneo 特トリ(1:1)をダメージ部に塗布し、よく揉み込んだ後に5分放置した。

POINT

ワクワクの種 BYACはダメージ部にSS結合を増やして強化することができる。これまでの工程で髪を疎水化し、還元剤を髪に作用させる前に、髪のベースを整えた。

STEP
リノベーターの活性化(A剤の作製)

リケラプラス 3Dリノベータークリーム:リケラプラス アクチベーター(10:1)の混合液(A剤)を作製した。

POINT

リケラプラス 3Dリノベータークリームに配合されているドデシルPGアミノエチルジスルフィドケラチン(羊毛)を還元により活性化させた。この状態にすることを、活性化と呼ぶ。

STEP
B剤の作製

さらに、A剤:ソニルEXPプラス(1:4)を作製した(B剤)。

POINT

B剤には、S1を還元することができるチオグリコール酸、及びS2を還元することができるアルカリシステアミンとGMTが入っている。このことで、オルトコルテックス(S1)とパラコルテックス(S2)を均一に軟化することができる。

STEP
B剤塗布、15分放置

B剤を根元から中間に塗布して15分間放置した。

STEP
コーミング、7分放置

塗布したB剤をコーミングしながら髪全体に均一に伸ばし、さらに7分間放置した。

STEP
シブミンEX 5倍塗布

還元剤の消臭と、ケラチンとCMCの定着性をアップさせる為に、ワクワクの種 シブミンEX5倍で乳化破壊後、しっかり水洗した。

POINT

ワクワクの種 シブミンEXにはポリフェノールの一種であるカキタンニンとグルコン酸亜鉛が配合されている。カキタンニンとグルコン酸亜鉛の亜鉛がケラチンとCMCとコンプレックスを形成し、髪の中でケラチンとCMCの定着性をアップする。

STEP
ヘマヘマ10倍塗布、チェンジリンス

ワクワクneo ヘマヘマ10倍でチェンジリンスを行った。

POINT

ワクワクneo ヘマヘマに配合されているヘマチンが残留する還元剤を不活性化することができる。

STEP
ポリK 10倍塗布、チェンジリンス

ワクワクneo ポリK10倍でチェンジリンスを行った。

POINT

ダメージやアルカリで水を吸って膨潤してしまった髪をポリフェノールで元の太さに戻す為。

STEP
キトキト10倍塗布、チェンジリンス

ワクワクneo キトキト10倍でチェンジリンスを行った。

POINT

髪のpHを酸性側に導いて髪を適度に引き締める為。

STEP
タオルドライ、リケラミスト塗布

タオルドライ後、アイロンの熱ダメージから髪を守る為に、リケラミストを髪全体に塗布した。

POINT

リケラミストには、アイロンやドライヤー等の熱ダメージから髪を守ることができるポリアミンAEEや熱反応性コラーゲンが配合されている。

STEP
80%ドライ

次に、80%ドライをした。

STEP
180℃アイロン

180℃設定のアイロンでクセを伸ばした。

STEP
アンカー塗布、10分放置

リケラプラス 3Dアンカークリームを髪全体に塗布後、10分間放置した。

POINT

リケラプラス 3Dアンカークリームには10%のブロム酸塩が配合されている。

STEP
水洗

その後、しっかり水洗した。

STEP
ヘマヘマ10倍塗布、チェンジリンス

髪の中でPPTの定着性を向上する為に、ワクワクneo ヘマヘマ10倍でチェンジリンスを行った。

POINT

ワクワクneo ヘマヘマに配合されているヘマチンは、PPT同士を架橋することができる。

STEP
タオルドライ、リケラエマルジョン塗布、仕上げ

タオルドライ後、CMCを補給する為に、リケラエマルジョンを髪全体に薄付けして仕上げた。

結果

伸びにくいクセをしっかり伸ばすことができたと同時に、ハリコシのあるしっかりした髪質に改善することができた。さらに、2週間後もダメージやクセの戻りは感じられなかった。

結論

※100%が健康毛の強度

活性化したドデシルPGアミノエチルジスルフィドケラチン(羊毛)を還元剤と一緒に塗布することで、髪のケラチン骨格を補強することができる為、ダメージやエイジングでストレートパーマを躊躇してしまうような髪に対してもストレートパーマをかけることができるようになった。

実際にこの施術をした毛束の毛髪強度を測定したところ、ブリーチを2回した毛束の強度が約15%上昇していた(表2参照)。この施術は、ブリーチオンカラーした髪や大人のやせ髪に対してもハリコシのあるしっかりとした髪質に改善しながら、クセを伸ばすことが可能となる。

もちろん、次回施術時もダメージを気にすることなく施すことが可能である。

使用した粧剤