アスタキサンチン

化粧品表示名称 アスタキサンチン
ヘマトコッカスプルビアリス油
ヘマトコッカスプルビアリスエキス
英語表記 astaxanthin
astaxanthine
分類 カロテノイド
分布 甲殻類(エビ・カニ)、魚類(キンキ・マダイ)、鮭の筋肉部など
詳細は以下に記載
化学式 C40H52O4
分子量 596.82
構造式

アスタキサンチンの第一生産者と、食物連鎖

第一生産者『ヘマトコッカス藻』

緑色植物門 緑藻綱 クラミドモナス目 ヘマトコッカス科

ヘマトコッカス属の淡水性単細胞藻 Haematococcus pluvialisであって、

通常は20~30μmの卵形~球形の単細胞で緑色または淡緑色を呈し、

自然界に広く分布する藻です。

増殖段階では緑色をした運動性の藻ですが、環境条件が変わると、

例えば培地の低窒素・低燐酸化 、高温、強い光  などに曝されると

アプラノスポアーを形成し、その中に赤色の色素を蓄積します。

その赤色成分がアスタキサンチンなのです。

一般に魚類ではカロテノイドを生合成できないため、

カロテノイドを合成するヘマトコッカス藻などの植物・動物プランクトンなどの餌から

カロテノイドを得て色素としています。

カロテノイド変換能を有する甲殻類などは、餌に由来するカロテノイドをそのまま、

あるいは他の色素に代謝した後、各組織に蓄積して色調を発現します。

サケやニジマスは摂取した食物中のアスタキサンチンを体内、特に筋肉中にも蓄積し、

カロテノイドの強力な抗酸化作用を利用して有害な活性酸素から生体を防御しています。

サケでは川を溯上する時のエネルギー代謝、さらに産卵した卵へアスタキサンチンを移行させて、

孵化までの卵の保護、幼魚の成育に役立てていると考えられています。

卵と稚魚の生存率は、卵中のカロテノイド濃度の増加とともに有意に高まり、

また卵のカロテノイド濃度と孵化率との間に相関関係があるそうです 。

卵の斃死率も卵の色調が濃くなるにつれ減少する傾向が出ています。

そして、甲殻類でも魚類におけると同様にカロテノイドを餌であるプランクトン・微細生物から得ています。

カロテノイドは食物連鎖で体内に取り入れられ、アスタキサンチンへ体内で変換され、

体表ではアスタキサンチンが色素として、また、たんぱく質と結合したアスタキサンチンはたんぱく質として存在します。

生体では赤色~黒色まで色調は多様ですが、加熱によりアスタキサンチンとたん白質の結合が切断され、

アスタキサンチンが遊離して赤色を呈するために、調理でエビなどが赤色に色を変えます。

アスタキサンチンの分布

アスタキサンチンは、いろいろな生物に含まれていることが分かっています。

下表にまとめました。

微生物 昆虫など 動物 トリ
緑藻 甲虫 イモリの卵巣 ニワトリ
ユーグレナ 腹足類卵巣 カメ 繁殖期の羽毛
クロレラ 条虫類 アメリカフラミンゴの羽
赤色酵母 ヒル
好熱細菌
魚類
ロブスター 鮭の卵(いくら) ヒトデ フジツボ
カダヤシ 金魚 錦鯉 鮭の肉
真鯛 ヨーロッパウナギ キャビア オキアミ
イカ タコ

活性酸素たちを消去するアスタキサンチン

活性酸素には

  • 一重項酸素
  • スーパーオキサイド
  • 過酸化水素
  • ヒドロキシラジカル

など、

いくつかの種類があります。

例えば脂質が酸化される場合、ヒドロキシラジカルが脂質を攻撃して酸化すると

脂質ペルオキシラジカルという物質に変化します。

この脂質ペルオキシラジカルは隣の脂質を攻撃して過酸化脂質となります。

このようにひとつの活性酸素がエンドレスに反応を引き起こし、大量の酸化物質を発生させるのです。

活性酸素を消去して物質が酸化されるのを抑制

するのが

『抗酸化物質』

です。

ひとつの抗酸化物質がすべての活性酸素を消去できるのではなく、

活性酸素ごとに効果がある抗酸化物質が存在します。

カタラーゼなどの酵素、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンC(アスコルビン酸)などが、

それぞれが異なる活性酸素を消去し、体内で抗酸化ネットワークをつくって体を守っています。

アスタキサンチンの活躍場所

アスタキサンチンの活躍場所をイメージ図で表しました。

アスタキサンチンはどんなものに使われているの?

アスタキサンチンは、いろいろなものに応用されてきています。

特に、

  • 化粧品(化粧水・乳液・美容液・クレンジングオイル・石鹸・パック等)
  • サプリメント

などには、よく用いられていますので、

みなさんも注目してみてはいかがでしょうか?

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