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化粧品原料事典 【セラミド②】

目次

セラミド②

先回は、セラミドの定義や役割についてお話をしました。

今回は、世の中に飛び交っている「セラミド」の分類についてお話します。

化粧品に配合されているセラミドは、

  •  天然セラミド
  •  合成セラミド
  •  ヒト型セラミド

などに分類されます。

他にも、バイオセラミド、植物性セラミド、疑似セラミド、

天然系セラミドなど、様々な呼び方がありますが、

これは商業的に差別化しようとして名付けられたと考えられます。

ここでは、天然か合成か、ヒト型か非ヒト型かで分類してみます。

天然セラミド

天然セラミドのなかでも、動物由来と植物由来があります。

動物由来で多いのが馬セラミドです。

動物由来の場合は、セラミド残基にホスホリルコリンが結合した「スフィンゴミエリン」が主成分のものが多いようです。

この馬セラミド、セラミドとよく似た構造を持つので同じ働きをすると考えられていますが、ヒトのセラミドとは異なりますので、「非ヒト型」ですね。

また、馬の脊髄などから抽出されたセラミドなので、肌や髪のセラミドとは性質が違うというのが一般的な考えで、それを摂取や吸収したからといってセラミドが補充されるわけではなく、セラミドの合成を促す働きがある、ということのようです。

成分表示は、「ビオセラミド」、「セレブロシド」 などです。

一方で、植物セラミドですが、こちらはセラミド残基にグルコース、つまり糖が結合した「グルコシルセラミド」が主成分のものがほとんどです。

由来としては、小麦、米、とうもろこし、大豆、こんにゃくなど多岐にわたっています。

この植物セラミドも馬セラミドと同様に、セラミドと似た構造をしていますが、働きはまったく別。

セラミドを直接補うことも、セラミド合成を促すこともないようで、あくまでも保湿成分ですね。

成分表示は、「植物性セラミド」、「コメヌカスフィンゴ糖物質」などです。

合成セラミド

次に、合成セラミドです。疑似セラミドとも呼ばれます。

セラミドに似た物質を化学的に合成したものです。

例えば、界面活性剤。

セラミドはラメラ構造を造ります。

ラメラ構造は、親水基と疎水基の両方の構造を持っていて規則正しく整列することで形成されます。

界面活性剤も親水基と疎水基を持っており、分子集合体としてミセルなどを形成することはよくご存知だと思います。

界面活性剤もラメラ構造に近い分子集合体を形成するために、疑似セラミドなどと呼ばれています。

しかし、そもそも界面活性剤であり、保湿やバリア性などの働きは持っていませんので、セラミドとはまったく別元と考えるのが正しいのです。

ラウロイルグルタミン酸Na、ミリストイルグルタミン酸Na、ココイルグリシンNa、ココイルグルタミン酸Naなどがあります。

もう一つ、セラミドに似せて合成した、セラミド様物質があります。

セラミドケア成分などと呼ばれているようですね。

これは、主に大手メーカーがオリジナル原料として合成したものです。

セラミドの構造をよく解析して、それに近い構造のものを化学合成しています。

メーカーとしては、オリジナル原料ですので差別化を図れることがメリットですね。

また、生産効率などを上げれば安価に製造できますので、そういった価格メリットも期待できます。

ただ、肌のセラミドとは異なりますので、同じような性質は持っていないのが現状です。

高い保湿作用はあるようですし、アレルギー反応などがなく安全性が高いことは魅力です。

セチルPGヒドロキシエチルパルタミド、スフィンゴリピッドE、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルデシル)などがあります。

セラミドに似て非なるものを続けてご紹介しましたので、次はホントのセラミドをご紹介しましょう。

ヒト型セラミド

化粧品のパッケージにセラミドと書けるのは、ヒト型セラミドだけです。

表示としては、セラミド1、セラミド2など数字を付ける方法が一般的でしたが、セラミドEOS、セラミドNGなどのように脂肪酸とスフィンゴイド塩基の組み合わせで表記する表現に切り替わっています。

今後は、数字をつける表記はなくなっていくでしょう。

このヒト型セラミドは、有機合成または天然由来のスフィンゴミエリンから化学反応によってセラミドだけを取り出して回収して作ります。

なので、合成セラミドの一種と言えます。

しかし、先に出てきた合成セラミドと決定的に違うのが、「ヒト型」か、そうでないか。

同じ合成でもこちらはヒトの皮膚などに含まれるセラミドと同じか非常に似た構造をしていますので、「ヒト型」と呼ばれています。

もちろん、肌や髪のセラミドと同じ働きをします。

ラメラ構造を取り、水と脂の通り路を形成しますし、水分を保持する能力にも長けますので高い保湿性を示します。

特に化粧品に用いられるのがセラミドNS(セラミド2)ですね。

詳しい働きについて話しだすとすごーーーく長くなってしまうので、次回に譲りましょう。

このヒト型セラミドは肌や髪にとって良い素材ですけど、ただ、ちょっと惜しいなぁってことが一つ。

この合成ヒト型セラミドは、大分類11種類小分類数百種類のうち1種類しか含まれていないということ。

人の肌や髪のセラミドはいろいろな構造のセラミドが何十種類と含まれていて、1種類というわけではないのですね。

ですので、1種類のセラミドしか含まれていない合成ヒト型セラミドは、ちょっとおしい!ということで、とあるメーカーは合成ヒト型セラミドの複数種類を配合して、「肌型セラミド」 とか、「素肌セラミド」 とか呼んでこの問題をクリアしているのですね。

賢い!

1種類の合成ヒト型セラミドでもその役割を十分にしてくれると期待されています。

たしかに、構造は非常によく似ているわけですから、肌や髪のセラミドと同じ働きをするでしょう。

でも、もっともっと肌や髪のセラミドに近いものがあるんです!

それが、「天然ヒト型セラミド」です。

天然ヒト型セラミド

醸造発酵粕から抽出・精製されたセラミドで、複数種類のセラミドを含んでいます。

セラミドAP(セラミド6Ⅱ)とセラミドNP(セラミド3)でそのほとんどを占めます。

大分類では2種類、小分類でいうと21種類のセラミドが含まれていることが最大の特徴です。

先ほどのヒト型セラミドはたった1種類でしたから、それだけで優位性があることがわかります。

それも、ヒト型セラミドですので、肌や髪に含まれるセラミドとほとんど同じ構造を持っています。

ということは、肌や髪との相性がよく、同じ働きをするということです。

肌や髪のが失われると、本来持っている機能が失われてしまいます。

それを補うためにも、肌や髪と同じ素材のもの、できるだけ近い素材のものを補給してあげる必要があるのです。

そんなことを考えると、天然ヒト型セラミドがどれだけ素晴らしい素材なのかがわかりますね。

今回は、このぐらいにします。

次回はセラミドの働きについて、もう少し詳しくお話したいと思います。

お楽しみに。

天然ヒト型セラミドを配合した商品

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