リトル・サイエンティストでは、2016年頃から「ヘアストレッチ」という技術を提案しています。
今回は、そのヘアストレッチの実施例も含めてより詳しくご紹介します。
ヘアストレッチって何?
ヘアストレッチとは、簡単に言うと髪の歪みを一時的に整える前処理法です。
難しく言うと、毛髪中の水素結合、イオン結合、疎水結合を、処理剤を使って緩めると共に、ナノ化CMCや結晶性高分子ケラチンPPTを毛髪内部に浸透させ、尿素と熱の力で髪の結晶構造の歪みを一時的に整える前処理法です。
前処理として利用するところがポイントのひとつでもあります。
ヘアストレッチすると髪はどうなるの?
例えば、
- ツヤや手触りが良くなります。
- ハネやうねりが抑えられます。
- まとまりやすくなります。
- ナチュラルなボリューム感を残しつつ、落ち着きがでます。
- トリートメントや薬剤の浸透ムラが均等になりやすくなります。
※ただし、効果には個人差がありますので、あらかじめご了承ください。
こんな “方” にマッチしています!
じゃあ、この技術、どんな人にマッチしているかというと、もうみなさんおわかりだと思いますが、
- (1)ストレートの真っすぐすぎるのがイヤだなぁという方
- (2)うねりが気になってきた方
- (3)ストレートパーマまではしたくないけど、うねりは抑えたいという、少し要望が高い方
うねりは抑えたいけどピンピンにはしたくない-というお客さんですね。
最近なんだか気が付けばちょっとうねうねってしているような… なんか最近ボワっと広がる気がするという方なんかにはマッチングしていますね。
ストレートの値段や時間、仕上がりなんかで躊躇されている方には最適ですね。
こんな “髪” にマッチしています!
ではでは、どんな髪の方にマッチしているか?という点でみていくと…
- (1)うねりがある髪
- (2)髪が乾くとクセが強めになる髪
- (3)ストレートするまでもないけど、ちょっとうねりやボリュームを抑えたい髪
という髪ですね。
トリートメントではおさまりきらないけど、ストレートするまでもないという、
ちょうどその辺りの髪の方、ベストマッチです!
手順は、シンプルに!
コアとなる“ヘアストレッチ”の部分はシンプルにしましょう。
コームスルーして揉み込む。
シャンプーボウルにお湯を貯めて、髪全体になじませるようにかけ流す。
その後しっかりとタオルドライ。
表面は乾いているけど、髪の芯は湿っているのが目安。
160~180℃が基本。
アイロンで引っ張って伸ばすのではなく、アイロンは強く挟まずに、ゆっくりと熱をかけていく。
ヘアストレッチのコアとなる部分は以上です。
これに、通常行う前処理・中間処理・後処理を組み合わせます。
ヘアストレッチトリートメント実施例
ここで実施例をご紹介します。
トイトイトーイシャンプーでシャンプーします。
PPT・CMCなどの補修成分が含まれているので、この後の工程がしやすくなるようにベースを整えてくれます。
この後の処理剤を効かせるために、しっかりとタオルドライします。
『浸透促進原液1:ワクワクneoミスト4』の液をスプレイヤーやフォーマーなどで塗布します。
ムラにならないようにコームスルーして、よく揉み込みます。
できるだけ余分な水分は取り除きましょう。
ダメージに応じて『3種混合原液1:ワクワクneoミスト4』の液をフォーマーで塗布します。
これもよく揉み込んで余分な水分を取ります。
ダメージが高い毛先には特トリを塗布して保護しましょう。
毛先10㎝ぐらいが目安です。これもよく揉み込みます。
シャンプーボウルにお湯を貯めて、髪全体になじませるようにかけ流します。
その後、しっかりとタオルドライします。
80%程度、乾かします。
表面は乾いているけど、髪の芯は湿っているのが目安です。
160~180℃で1~2スルーします。
アイロンで引っ張って伸ばすのではなく、アイロンは強く挟まずに、ゆっくりと熱をかけていきます。
テンションは左手の指で挟んでかけるイメージで。
ヘアストレッチをした部分にソニルCA-S/Hを塗布します。
加齢毛、細毛、軟毛、ダメージ毛 → ソニルCA-S
太毛、硬毛、健康毛、撥水毛 → ソニルCA-H
髪質に合わせて、ソニルCA-S 1:CA-H 1やソニルCA-S 1:CA-H 2などのように混合を調整してください。
水洗・タオルドライ
塗布して5~7分放置します。
その後、よく水洗してタオルドライします。
キトキト10倍塗布
ヘマヘマ10倍希釈をアプリケーターやスプレイヤーで塗布します。
同様にキトキト10倍希釈をアプリケーターやスプレイヤーで塗布します。
必要に応じてチェンジリンスします。
5分放置
ソニルCAを塗布したところにソニルBⅡローションを塗布。
5分ほど放置します。
しっかりと水洗します。
ヘマヘマ10倍希釈を塗布し、シャンプーボウルにお湯を貯めて髪全体になじませるようにかけ流してチェンジリンスします。
次に、キトキト10倍希釈を塗布して同様にチェンジリンスします。
トイトイトーイトリートメントを塗布して全体になじませてから水洗します。
しっかりとタオルドライしましょう。
キューティクルヴェールやグレイスプリエヘアエッセンスなどのアウトバストリートメントを塗布して仕上げます。
文字で見るより、ムービーですよね。
ということで、ムービーでもご確認ください!
メカニズム
- (1)ヘアストレッチでは、まず「浸透促進原液1:ワクワクneoミスト4」を塗布します。これに含まれる尿素などによって、毛髪中の水素結合、イオン結合、疎水結合を緩めます。さらにナノ化CMCや結晶性高分子ケラチンPPTを毛髪内部に浸透させて整えます。
- (2)次にアイロン処理を行いますが、このアイロンの熱によって髪内部の分子運動が活発になるため、水やアルカリなどが届きにくい「毛髪深部」にある水素結合、イオン結合、疎水結合も緩めます。
- (3)また、浸透促進原液に含まれる尿素の働きによって、毛髪内部の水分量が増加します。このような状態の毛髪組織はガラス転移点が下がるため、熱による髪の結晶構造の歪みを容易に修正することができます。その状態から水分が蒸発していくことで、毛髪組織と結晶性高分子ケラチンPPTとが「きれいに整った状態」で疎水結合します。
以上のことからもわかる通り、髪の結晶構造の歪みを整えるのがヘアストレッチのメカニズムであり、そのために尿素、ナノ化CMC、結晶性高分子ケラチンPPT、そして熱をうまく利用しているのです。
さらに、その後でアルカリシステアミン(ソニルCA-S/H)で軽く軟化させることでさらに髪の歪みを整えることができます。
ヘアストレッチQ&A
- 浸透促進原液をワクワクneoミストで希釈するのは何故ですか?
-
尿素だけでなく、ナノ化CMCや結晶性高分子ケラチンPPTを髪内部に補給することで、髪の結晶構造の歪みを整えるため、ワクワクneoミストで希釈します。
さらに、ワクワクneoミストには水と油の通り路を作る作用もあるため、尿素やケラチンPPTの浸透を促進する効果も高まります。
また、この後に行うアイロン処理のときに、熱によるタンパク質の癒着をナノ化CMCが防いでくれますので、ワクワクneoミストで希釈するのがオススメです。
- 「浸透促進原液1:ワクワクneoミスト4」を塗布した後のチェンジリンスは必要ですか?
-
毛髪表面に過剰な保湿成分が残っていると、その後のアイロン操作の邪魔になりますので、チェンジリンスをして表面の余分なものを軽く流しましょう。
- アイロンではなく、ブローではダメですか?
-
ブローで水分を抜くことはできますが、ケラチンのガラス転移温度まで達しないため、ヘアストレッチの効果が発揮されません。
同様に、160℃未満の低温アイロンでも、ヘアストレッチの効果が弱まります。ですので、160~180℃のアイロンをしましょう。
- ソニルCA-S/Hと併せて行うのは何故ですか?
-
ヘアストレッチのみでもその効果はありますが、「うねり」を解消して整えるためには還元の力を少しだけ利用するとより効果的です。
ソニルCA-S/Hは、トリートメントベースのやさしい還元剤クリームですので、扱いやすくてぴったりです。
- ソニルCA-S/Hの放置時間が短くないですか?
-
ヘアストレッチとあわせて使うため、強い還元はあまり必要ありません。
5~7分程度の放置でもうねりを抑えることができますし、髪への負担を軽減することにもつながります。
使った粧剤のご紹介
ヘアストレッチトリートメントの実施例に使った薬剤を一挙にご紹介します。
- ワクワクneo 浸透促進原液
- ワクワクneoミスト
- ワクワクneo 3種混合原液
- ワクワクneo 特トリ
- ソニルCA-S
- ソニルCA-H
- ワクワクneo ヘマヘマ
- ワクワクneo キトキト
- ソニルBⅡローション
- トイトイトーイ
“ヘアストレッチ”まとめ
いかがでしたでしょうか?
ヘアストレッチ。
トリートメントだけでなく、パーマ、カラーと組み合わせたり、部分的にうねりを抑えたいときなど、色々な使い方がきっとあるはずです。
あなたも、いろいろな使い方を試して、技術の幅を広げてください!
美容師さんと、お客さまの喜びの声が聞こえてきそうですね。
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